よくASMRの機材を紹介するブログを見ると、TASCAM DR-05をすすめする記事が多いです。
でも、本当にDR-05っていいの?ということで、同じ価格帯のZOOM H1nと比較して、DR-05が本当におすすめなのか検証してみたいと思います。
スペック比較
ZOOM H1n
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TASCAM DR-05
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チャンネル数
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2
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2
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サプリング周波数(wavファイル)
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44.1kHz、48kHz、96kHz
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44.1kHz、48kHz、96kHz
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内蔵マイク
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XYステレオ方式、指向性コンデンサマイク
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ABステレオ方式、無指向性コンデンサマイク
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外部入力
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3.5mmステレオミニジャック、プラグインパワー対応
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3.5mmステレオミニジャック、プラグインパワー対応
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USB |
microUSB
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USB Mini-Bタイプ
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記録メディア
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microSDカード
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microSDカード
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電源
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単4電池2本、ACアダプター、USBバスパワー
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単3電池2本、ACアダプター、USBバスパワー
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質量
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60g(電池含まず)
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116g(電池含まず)
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こうして比較してみると、スペック的にはあまり変わらないといってもいいでしょう。
大きな違いはマイクです。
H1nはXY方式の単一指向性、DR-05はAB方式で無指向性のマイクを使用しています。
ASMRを撮るときに、このマイクの違いがどう影響するのか、1つのポイントになるのかなと思います。
音質チェック
さっそく音質チェック。
ここでは、ぼくが両者を徹底的に聴き比べて感じたことを書きたいと思います。
ノイズ
ホワイトノイズ(サーというノイズ)の入り具合は両方とも同じぐらい。
さすが録音専用機だけあって、低ノイズで録音することができます。
ASMRのようなノイズが目立つような録音には、やはりこういったハンディレコーダーが向いています。
音質
音質自体もそれほど差はないと感じで、両者ともクリアな音。
ただ、DR-05のほうが若干、高音の抜けがよい気がしますね。
ここは好みもあると思いますが、高音の抜けがよい分、すかっとした音になっています。
ちなみにDR-05とH1nを比較した以下の動画が参考になります。
ステレオ感(バイノーラル感)
AB方式とXY方式の違いなのか、AB方式であるDR-05のほうが右左の音がはっきりと分離します。
逆にXY方式のH1nは、少し左右にふっても、真ん中のほうで聴こえる感じ。
ASMRは音の定位が移動するバイノーラル的な音がおもしろいところでもあるので、DR-05のAB方式の方がASMRに向いていると言えるかもしれませんね。
それでもマイクに直接触れる耳かき音などは、左右の分離は変わらないです。
タッピングや囁きなどで、DR-05の方が左右の音がはっきり分離する感じ。
機能チェック
スペック比較表を見てもわかりますが、機能的にはそれほど差はないです。
両者とも3.5㎜ステレオマイク端子が付いていてプラグインパワーに対応しているので、Rolandのバイノーラルマイク「CS-10EM」を使うことができます。
ただ1点、大きな違いがあります。
それは、ZOOM H1nはオーディオインターフェイスが付いていること。
このオーディオインターフェイスがあることで、iPhoneやパソコンの外部マイクとしても使うことができるのです。
DR-05にもUSBは付いていますが、パソコンとデータのやり取りができるだけで、DR-05を外部マイクとして使うことはできないです。
ZOOM H1nはオーディオインターフェイスがあることで、iPhoneやパソコンに繋いでライブ配信を行うなんてことも可能です。
ゆくゆくはASMRのライブ配信もしたいと考えている人は、この機能はなかなか魅力的なんじゃないかなと思います。
価格チェック
ZOOM H1nはAmazonで11,188円。
TASCAM DR-05はAmazonで9,980円(2019年4月時点)。
その差、1,208円。
iPhoneで動画編集する場合の利便性
ハンディレコーダーに音を録音して動画を作る場合、撮った動画と音を同期させる必要があります。
iPhoneで動画を撮って編集する場合は、ハンディレコーダーからiPhoneに音データを移行しなければなりません。
この点に関してH1nは、iPhoneとつなぐことができるので音データの移行が簡単です。
一方、DR-05はiPhoneと接続ができません。
ですので、iPhoneで使えるmicroSDカードリーダーを使って、音データを移行させなければなりません。
以下のようなSDカードリーダーが必要。
また、H1nは先ほど説明したように、iPhoneの外部マイクとして使うことができるため、iPhoneで動画と音声を一緒に撮ることも可能です。
いちいちデータの移行がめんどくさいという人は、iPhoneにダイレクトに音を入れるなんてことも可能なんですね。
結局どっちがASMRに向いている?メリットデメリット
以上、いろいろな視点で両者を比べてみましたが、どちらにも利点があって、甲乙つけがたいのが正直なところ。
以下にそれぞれのメリットをまとめてみました。
TASCAM DR-05をASMRに使うメリット
- マイクがAB方式なので広がりのあるバイノーラル的な録音ができる
- H1nよりも若干、高音の抜けがいい
- 価格が安い
DR-05とH1nはマイク方式が大きく違います。どちらかと言えばAB方式であるDR-05の方が、ASMR向きであるのかなと思います。DR-05単体で使う人でライブ配信をしない人には、DR-05のほうがいいでしょう。
ZOOM H1nをASMRに使うメリット
- オーディオインターフェイス機能でライブ配信で使える
- iPhoneへ音データを移行するのが簡単
H1nでもバイノーラルマイク「CS-10EM」を使えば、広がりがある音で録ることができます。なおかつオーディオインターフェイスが搭載されているので、ライブ配信で使うこともできます。CS-10EMを使ってライブ配信をしたいと考えている人は、H1nのほうがいいでしょう。
1つ気になったのは、H1nのマイク周辺にある囲いです。
これはH1nを誤って落としたときにマイクを守るためのものだと思うのですが、マイクに直接さわることが多いASMRには邪魔だったりします。
綿棒や耳かきぐらいなら入りますが、直接指でタッチすることができないんですよね。
そういう点もふくめて、どちらが適しているのかじっくり検討してみるとよいでしょう。
ちなみに最近、TASCAM DR-05がパワーアップして「DR-05X」というバージョンが販売されました。
オーディオインターフェイスが搭載されて、よりASMRに適したハンディレコーダーになっています。
こちらの記事で詳しく検証していますので、参考にしてください。
⇒ASMR用ハンディレコーダーの最終回答!TASCAM DR-05Xを徹底検証